ほっこりとした食感とほんのりとした酸味が特徴の滋味深いチーズです。
国:フランス、オーヴェルニュ圏 乳種:牛乳 タイプ:ハードチーズ
相性のいいワイン:華やかな赤ワイン しっかりとした白ワイン フルーティな白ワイン
フランス中央部の軽量地帯では、カンタルと呼ばれる熟成ハード系チーズが極めて古い時代からつくられ続けています。イギリスで著名な〈チェダーの元祖〉とも言われています。
作り方の多くはハード系チーズとよく似ていますが、カンタルづくりで特徴的なのは、そのカッティングと圧力をかけた脱水とを何度も繰り返し、凝乳から十分に水分を抜き取りることにあります。
この作業〈チェダリングともいう〉を行うことで、塩が十分になくとも、大型のチーズの製造ができるようになりました。(カンタルは、直径38㎝、重さ45㎏のドラム型)
カンタルの熟成には、現在では温度や湿度が管理された電気式の熟成庫が利用されており、温度9℃ほど、湿度95%の熟成庫に移され熟成させていきます。
では、冷蔵庫のなかった時代はどのように熟成させていたのでしょうか?
熟成したチーズが発達したヨーロッパでも、夏には30℃にも上がり、湿度は60〜70%ほどに落ちます。決して、チーズの熟成には適した自然環境とは言い切れません。
そのため、電気のなかった昔は、洞窟や山小屋を利用していたといいます。
山小屋は、森林を切り倒してつくった牧草地の真ん中に、厚い石組みで建てられています。
内部はひんやりと涼しく、石が水分を含み自然の加湿器となっていたのです。
この自然の力をり応した熟成庫で、夏でも涼しく、湿度をなんとか保ち、チーズを熟成してきたようです。