フロマジェリー&チーズバル カゼウス通販ショップ

0
¥0

現在カート内に商品はございません。

ブログ

【カマンベール・ノルマンディー】「カマンベールの誕生!」

    白カビチーズと言えば、まずどんなチーズを思い浮かべるだろう?

  日本人なら、やはりカマンベールを思い浮かんだ方が圧倒的ではないだろうか?

 

  しかし、カマンベールというのはチーズの種類ではなく”村の名前”ということは知っている方は少ない。

  それは、日本では北海道カマンベールが日本全国で販売されていることも影響しているかもしれない。

 

 

カマンベール・ノルマンディー Camembert de Normandie

 

 フランス・北西部ノルマンディー地方にカマンベール村はある。

フランスはノルマンディー地方の旅: 日仏文化の違いが ...

 

 

 カマンベールチーズは1761年にノルマンディー地方オルヌ県のクルット(Crouttes)という村で生まれたマリー・アレル(Marie HAREL)という女性によって発明されたというのが通説である。彼女と夫のジャックが一緒に住んでいた場所では、すでに17世紀末の時点で素晴らしいチーズが作られており、村の名前であるカマンベールのチーズとして市場に売られていたようだ。つまり、マリー・アレルが一からカマンベールチーズを生み出したという訳ではないようだが、現在のカマンベールチーズの原型となるものが生まれたのは1791年と考えられている。

 

 時はフランス革命の真っ只中。1790年7月12日、制憲議会では聖職者の市民憲法が議決された。このことにより、カトリック教会は国の管理下に置かれることになり、聖職者たちは公務員と同じように扱われ、国家に誓いをすることを求められた。それを拒否した場合は弾圧され、中には牢獄に入れられる、または殺された者もいた。そういう時代において、宣誓を拒んだ多くの聖職者たちの中で国外逃亡を企てる者もいた。

 そしてパリからイギリスに逃亡する経路に、ノルマンディー地方のカマンベール村があったのだ。

 

 そんな時代の流れは、ノルマンディーの田舎に住んでいたマリー・アレルと彼の夫のジャック・アレル(Jacques HAREL)の下にも思いがけぬ形でやってきた。1790年に宣誓を拒んだ神父が身の危険を恐れて彼らの下に身を寄せることとなったのである。

 

 この神父はパリ盆地の東にあるブリー(Brie)の出身だった。ブリー地方といいえば、ブリー・ド・モーを代表とするブリーチーズがあり、1000年の以上の長い歴史がある、その起源は中世にまで遡る。(詳しい話は拙著:【ブリー・ド・モー】-Brie de Meaux-「貴族に愛されたチーズ物語」を参照してほしい。)

 一説によれば、そんなブリーのチーズを知る神父がマリーにチーズの作り方を教え、元々あった彼女の地元のチーズに改良が加えられた。こうして生まれたのがカマンベールチーズである。

(マリー・アレルの銅像⇓)

 C.P.A. | フロマGのチーズときどき食文化

  では、なぜこの小さな村で造られたカマンベールが、今や世界的に知名度のあるチーズになっただろうか?

 それは、1850年にこの地方とパリを結ぶ鉄道が開通し、パリまでおよそ6時間という短時間で到着できるようになったことと、長距離輸送にも耐えられる経木のパッケージの発明によるところが大きい。この二つの画期的な出来事により、パリの富裕層に新鮮なカマンベールチーズを届けることが可能になったのである。そこにナポレオン3世が偏愛したというエピソードも加わって、カマンベールはフランスチーズのスーパースターにのし上がった。

ナポレオン三世 | ナポレオン3世(napoléon iii, 1808年4月20日- 1873年 ...

【ナポレオン三世】

 いまや「カマンベール」(村名であり本来は名乗ってはいけないのだが)、は世界中で造られてるが、本家本元はノルマンディー地方の特定の地域で、無殺菌乳を使い、決められたルールを守って造られているものだけである。

 しかし、原産地の名称を守っていこうという流れが世界基準になりつつある現在では、少しずつ変わりつつある。

 北海道カマンベールがなくなる日も、そう遠くなはないだろう。

   周りを覆う白かびは、スプレーによって吹き付けられ、風乾室で最低21日間以上熟成される。

  熟成の考え方だが、外皮が赤茶色くなり、香りも強まる時期を完熟したという考え方と、中心に白い芯がやや残ったやや若い状態を、本来の熟成とする見方もあるようである。

  もちろん、どちらも美味である。

   しかし、日本で一般的に売られているカマンベールより、あきらかに風味が強く複雑で奥行きのある味わいである。日本のカマンベールになれている方は、刺激が強すぎて敬遠されることもある。

 

  ただ、シードル(りんごの発泡酒)やカルヴァドス(りんごの蒸留酒)など、現地で造られる酒と合わせれば、その強い刺激がまろやかになり、なんともいえない満足感を得られるだろう。

 

 

一緒に楽しめる「本格シードル&カマンベールセット

カテゴリ一覧