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【ロックフォール】〜世界最古のブルーチーズ〜

ブルーチーズがどのような形で誕生したのか正確には分かっていない。

 しかし、文献に記された時期や考古学や逸話などから世界最古のブルーチーズはどのようなものなのか、おおよその推察ができる。

 それが、世界三大ブルーチーズの一つである羊乳製ブルーチーズ「ロックフォール」だ。

 では、今回は世界最古といわれる「ロックフォール」の秘密に触れてみたい。

※別の章で残り二つのブルーチーズの解説はこちら⇒スティルトンゴルゴンゾーラ

ロックフォール Roquefort

 ~紀元前から存在していた?~

 民間伝承によれば、ロックフォールが誕生したのは約2000年前のこと。

 恋に夢中な若い羊飼いが、羊の番もそこそこに、パンとチーズの昼食を非難所代わりの洞窟に置き忘れたことに端を発する。

  数日後、洞窟に戻った羊飼いは、チーズの中心に青緑色にカビが生えていることに気づく。

 それ以降、羊飼いたちは、コンバルー山の石灰岩の洞窟でチーズを熟成するようになった…という逸話がある。

 この地域の集落の歴史は非常に古い。

 ルテン族がこの地にやってきたのは紀元前8世紀。そして、おそらく紀元前1世紀にはチーズ造りの伝統が始まっていたと考えられている。

 その後、西暦79年に賢人プリニウスによって、ロックフォールを称賛したという著述もある。(実際はロックフォールかどうか分かっていない。)

 またジュリアス・シーザーもロックフォール村から15km離れたSaint-Affriqueという地で味わうブルーチーズを絶賛したと言われている。

 

~皇帝に愛されたロックフォール~

 中世に入ると、シャルルマーニュ大帝がスペインからの帰途、青く輝くチーズを食べたと言われている。この時にはもうロックフォールであっただろう。その時の従者のやりとりが次のようなものだった。

 "皇帝が旅の途中で突然降りてきて""司教に会うとは思ってもいなかった その日は金曜日だった。この日は禁欲の日であったため、高僧は魚を持っておらず、また、あえて肉を皇子に振る舞わせることもしなかった。そこで彼は、家にあるもの、脂肪とチーズをプレゼントした。シャルルはチーズを食べたが、大理石のような筋の入った青かびの斑点は腐っていると思い、あらかじめナイフの先で取り除くように気をつけた。テーブルのそばにいた司教は、王子の従者たちとともに、青カビの部分はチーズの中でも最高のものであることを自らが食してみせた。そこで、シャルルは青カビ部分のチーズを試食したところ、司教の言うことが正しいとわかり、毎年エクス・ラ・シャペルにこのようなチーズを2ケース送ってくれるように頼んだ。

 さて、皇帝は言った。「送り出す前に、真ん中を切ってくれれば、私の希望通りかどうかわかりやすいだろう」。あとは、木釘で固定して、全体を箱に入れるだけです。"

 この当時にすでに、ロックフォールはハーフカットで出荷されていたことを示す記述であり、半分にカットすればちゃんと青カビが入っているか確認できるということだ。非常に興味深い物語である。

Roquefort Carles AOP - Fromagerie Lachaise

 最初の証言は11世紀に書かれたもので、1070年にサント・フォイ・ド・コンク修道院に寄付されたものには、ロックフォールのセラーから供給される2種類のチーズなどが指定されていた。

 15世紀、このチーズを愛した国王シャルル6世は、ロックフォール・シュル・スールゾンの町にチーズの熟成の独占権を与え(1417年6月4日の独占権)、貯蔵庫を保護区域に指定した。息子のシャルル7世はこの独占権を確認し、この地を次のように表現した。「この土地には何も育たず、ブドウも小麦の粒もない。」と表現している。

 なんともひどい表現だと思ってしまうが、実際の村の風景を見てみれば、それも納得してしまう。

 断崖絶壁の洞穴群を背景に急峻な丘が広がる地帯では農作物は育ちにくい…さらに、このような入りくんだ地形では大型の牛より小回りのきく山羊や羊の方が育てやすい。そして羊は毛もとれるということもあり、羊飼いが住み着いたのだろう。
 そして、背後にある大きな洞穴を冷蔵庫代わりに使うことも自然の摂理といえる。

 つまり、この地で羊乳のブルーチーズが生まれたのは必然だった。

 それが、時の権力者に寵愛され「ロックフォール」は、フランスチーズの中でも特別な地位を占めることになる。

 

〜偽ロックフォールの横行〜

 シャルル6世が与えた独占権を裏付ける様々な勅令があり、ロックフォールの住民は様々な管轄権、フランチャイズ、亡命の権利などの特権を持つようになった。トゥールーズ議会の法廷では、ロックフォールの名前を詐称した者を罰する1666年の布告など、模造品からチーズを保護する布告がいくつか出されている。

 19世紀に入るとロックフォールの認知度は高まり、アメリカの大使や領事は「このチーズはシャンパンのように、アメリカにおけるフランスの名声に貢献した」と公言した。
 20世紀になって、1925年に「ロックフォール」はチーズでは第一号となる原産地呼称として認められ、行政的に保護されるようになった。   

 1996年には、ヨーロッパでPDOを取得した。最後に有効な法令は2001年に署名されている。

 生乳の集荷地域は、アヴェロン地方のサン・アフリクの町に近いロックフォール・シュル・スールゾンの町を中心とした半径約100km以内の農場に限定しています。

 この法律によって、生産地域も厳密に指定され、今までロックフォールとして売られていた他地域で搾乳された乳で造られたチーズはその名を名乗れなくなった。

 

ロックフォール=シュル=スールゾン · フランス 〒12250フランス 〒12250リンクwww.google.co.jp

 

 

 ロックフォールに使用される羊乳も、ラコーヌ種に限定された。丈夫な品種で、より多くの乳を出すために高度に選別されたが、選別作業の中でその丈夫さも十分に考慮されている。それは寒暖の差が激しく、厳しい気候条件に適応しているからだ。

 

 またその飼育環境も厳しく規定されている。

 雌羊は羊小屋で新鮮な草、飼料、穀物を与えられ、そのうちの少なくとも75%は指定地域のものでなければならない。(指定政令の文言による)。INAO の同意があれば、旱魃や気候変動などの不可抗力の場合、雌牛への給餌に関する政令の条文の適用除外が認められ る。(放牧が義務付けられており、草が青い季節は天候が許せば毎日放牧される。動物を地面から離したり、恒久的に畜舎内で飼育することは禁止されている。)

 搾乳は1日2回。乳は農場で24時間以上保存することはできない。その日2回搾乳した乳を集め、濾過後の牛乳は、低温倉庫に保管される。脱脂もできない。

Roquefort | Réussir Pâtre : Le média des éleveurs de moutons |

 牛乳は28~34℃に加熱され、レンネット(凝固剤)が加えられる。レンネットは、搾乳後48時間以内のミルクストックに実施する必要がある。このとき、牛乳にはペニシリウム・ロクフォルティという青かび菌が入れられる。青かびはある程度空気がなければ繁殖できないためカード内に小さなスペースを確保しなければならない。
 そのため凝固したら、カードを切って攪拌した後、プレスせずに水切り台で型に入れる。型から取り出した後、乾燥塩でチーズを塩漬けにする。

 熟成前にチーズを刺す:チーズを針で刺して内部に空気をいれ、カビの発生を促す。この作業は、熟成が始まる48時間前までに、チーズの酪農場またはセラーで行われる。

La fabrication du Roquefort

 

〜洞窟での熟成〜

 チーズ熟成はロックフォール・シュル・スールゾンのコミューンに限定され、さらに長さ2km、幅300mのコンバルー山の小山に限定されている。確かに、崖の沈下によって、非常に特殊な温度と湿度を持つ天然の空洞が形成された。岩盤の割れ目(フルリーヌ)を利用して自然換気を行っている。このような特徴が、ロックフォールに独特な個性を与えている。

Fleurine — Wikipédia

Fleurine — Wikipédia

 

Les fleurines

 木のすのこの上で、カビが発生するのに必要な時間をかけて熟成させる。

 カバニエール(蔵人)や今日では特殊な機械で錫箔に包み青カビの発生を止めてゆっくりと熟成される。温度を一定にすることで、熟成のプロセスを「制御」することができる。雌牛の泌乳期間が6ヶ月と短いため、その期間内で一気に造られたチーズをゆっくりと熟成することで、常にほぼ同じ熟成度のロックフォールチーズを食卓に届けることができるのである。

Cheese Etiquette - Roquefort - Absolutely Southern France

 熟成、カット、最終包装はロックフォール・シュル・スールゾンの自治体で行わなければならない。ホールチーズやカットチーズは、パッケージに「appellation d'origine protégée roqueforte」の文字が表示されていることが必要になる。

 

 さて、ここでこのロックフォールをなぜ、現在でも洞窟で熟成されることにどのような意味があるのか考えてみたい。

 ただの伝統を重んじるが故か?

 

 いや、それだけではない!

 

 洞窟内に多く存在する青かび(Penicillium roqueforti)がロックフォールの青かびの原料となるからである。

 それもロックフォール・シュル・スールゾン村の中のコンバルー山の自然カーブ(洞窟)で最低3ヵ月熟成されなければならない。このカーブには自然の亀裂(フルリーヌ)による空気の流通があり、温度9℃、湿度95%で1年中一定しており、チーズの熟成には最適な環境なのである。

 また青かびを採取する方法も、専用に作られたライ麦パンを洞窟内に置きそこに生えた青かびを使用する。

 このような厳しい規定を決めたのも、ロックフォールというチーズの伝統と文化とその深い味わいを守るためだ!

Fromagerie Les Alpages » Roquefort – Maison Société

C'est moi qui l'ai fait !: Comment est fabriqué le Roquefort ?

Le roquefort Papillon : les secrets de l'excellence

 それを取り締まる法律も先述したがAOCという原産地呼称制度ができ、チーズ部門ではこのロックフォールが第1号となっている。

 それほど、フランスにおいてこのチーズが特別であるということだろう。

 

 さて現在、ロックフォールを生産している生産者は全部で8つある。

 最大の生産者は、SociétédesCaves de Roquefort(1863年設立、生産量:13,400t"2007)この一社でロックフォールの大半を占めている。RoquefortPapillon(1906年設立、生産量:1800t"2011)は日本でも有名だろう。

 その他の6社は一つの洞窟しか持っておらず、Carles(1927年設立、生産量:240t"2012)、Gabriel Coulet(1872年設立、生産量:1800t),Fromageries occitanes、Vernières(生産量:1,300t"2013)、LeVieuxBerger(生産量:150t)、Yves Combes(1923年設立、生産量:150t)となる。

 それぞれ、特徴的な味わいのロックフォールが造られている。

 

 合わせる飲み物を一つ選べと言われれば、フランス・ボルドーのソーテルヌだろう。つまり、貴腐ワインという極甘口ワインだ。

 ソムリエの教本の書いてあるくらい有名なマリアージュである。

 その他にも、濃厚でタンニンがしっかりある赤ワインや甘口のシェリーやポートワイン、そしてブランデーなど様々な合わせ方もできる。

 ワインとチーズの組み合わせの考え方は、また別の項目で詳述してみたい。

 

 ソフトドリンクでも、抹茶など合わせることのできる飲み物たくさんある。

 ぜひ、読者の方もロックフォールの風味や味を知り、色んな楽しみ方を見出してほしい。

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ロックフォール M.O.F.チーズ熟成士エルベ・モンス

ロックフォール ガブリエルクーレ

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